和束谷断層のはぎ録り標本

和束町健康福祉交流センターで、鷲峰山トンネル南口(和束町別所)の府道開削工事の際に現れた『和束谷断層のはぎ取り標本』を展示しています。
左側が北、右側が南になります。断層は北側(鷲峰山)が南側(和束谷)にのし上げる逆断層の運動を過去100万年間に繰り返してきました。これを活断層とよびます。断層運動により鷲峰山山地は隆起し、和束谷が落ち込むことにより今の鷲峰山や和束の盆地が形成されたのです。
標本の上部約3分の1の茶褐色部は鷲峰山山地を構成している丹波層群の頁岩です。これは約1〜2億年前の海底に堆積した地層で、かなり砕かれてぐしゃぐしゃになっています。下の約3分の2の黄灰色の砂、砂礫は盆地や丘陵を構成している大阪層群です。これは約150〜200万年の川や池に堆積した地層です。両者の間に幅20〜40CMの断層破砕帯が生じており、左側に30度ほど傾斜しています。これが和束谷断層です。下半部の砂礫層は、実は地層全体が断層により引きずり上げられて上下が逆転しているのです。それは砂礫層が上ほど粒が大きく下へ小くなること、シルト・粘土を削り込んだ凹部(流痕)が下をむいていることなどからわかります。これらは断層運動の激しさを物語っています。

鷲峰山山地ー和束盆地の南北地質断面
和束谷断層は、過去に直下型地震をくり返し発生して活動してきました。それは標本にみられる噴砂からもわかります。今後もマグニチュード6.8程度の地震を起こす可能性あります。
(2025年3月4日 植村善博)
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更新日:2025年03月07日